山田 小百合(修士課程1年)
学校外における障害児と健常児の交流・共同学習を支援する
学習プログラムの開発
●「インクルーシブ教育」について
簡単に説明すると、人種や国籍、障害の有無など、様々な違いをもった子どもたちが、同じ空間で学ぶ教育のことをいいます。1994(平成6)年6月に、サラマンカ宣言というものが提唱されたことが、「インクルーシブ教育」という言葉を広めるキッカケだと言われています。そしてこの「インクルーシブ教育」は、いわゆる「特別支援教育」の文脈で現在は多く使われるようになりました。
●研究の背景
特別支援教育に関する研究は、これまで多くされてきました。しかし研究の多くは、児童生徒個人に関するものが多く、こうして障害の有無を超えた学びの機会に関する研究は特に少ないようです。またインクルーシブ教育らしい実例といえば、障害児が普通学校(学級)に訪問して行われる「交流学習(共同学習)」あります。しかし、これらの実践は学内において健常児に「ふれあい」という「経験主義的側面」や障害児に対する健常児の態度などの変容に重点を置く道徳主義的な傾向が強く残っています。さらに言うと、学校内での授業などの実例は多々あっても、学校外での実施例は格段に少なくなります。
また、障害児は学校と家以外の活動の場所がどうしても限られます。例えば小学生だと、児童館や学童保育などに障害を持つお子さんを預けることは、親御さんにとってはハードルの高いことであり、かつ、施設側も受け入れ態勢が整っていない現状があります。中学校だと、普通学級の生徒のほとんどは学校の授業の後、部活動を行っています。しかし特別支援学校(学級)の生徒のほとんどは家に帰るしかない現状があります。つまり障害児にとって、他の同世代と関わる機会や経験をつむ場所が、どうしても限られてくる現状があります。もし学校外での場所でも何かプログラムが実施できるとなると、そのハードルも少しは下がるキッカケになるのでは、と考えています。
今回私が対象とする障害児は、知的障害児と自閉症児を考えています。そのような学習プログラムを実施することで、例えば視覚・聴覚障害者などとの実例と比較して、知的障害児・自閉症児を対象とした場合の実践は多くの困難が生じており、先行研究も数少なくなります。
●研究の目的
おそらく前述した「交流学習(共同学習)」はインクルーシブ教育の要素があるものだと思います。しかし、学校内では交流学習が行われているにもかかわらず、学校外ではそのような学びをデザインできる場がないのでは、と考えており、実施したいと考えています。そして欲を言えば、それは障害児だけのための機会でなく、健常児にとっても有意義に思える学びの場のデザインにします。そのなかで「どんな状況下だと、お互いに有意義に学びを得ているのか」「コミュニケーションが難しい中、どのように意思を伝えたり汲み取ったりしているのか」「双方が学ぶとはどういうことなのか」ということに注目しています。
具体的な仮説や研究方法・評価方法はまだまだ定まっておりませんが、このようなことに着目しながら研究を進めていきたいと考えています。

