2015.04.20

【今年度の研究計画】高校生の生徒タイプと技術的流暢さに関する研究

みなさま新年度いかがお過ごしでしょうか。
M2になりました青木翔子です。
今年の春は雨が多く、新しく買った春用の靴を試す機会があまりなく、なんだか少し寂しいです。

はい、そんな私情はさておき今回のブログテーマは「今年度の研究計画」です!

この研究を志したとき(去年の研究計画のブログ)は、高校生などの青年が、自主的に参加している学校外のコミュニティ(音楽などの文化、FabLabなどのMaker文化の場)について研究したいと考えていました。学校や家庭に課題を持っていても、学校外のコミュニティに参加することで、全人格的な学習が起きている、その学習に着目したい。。。今もその気持ちは変わっていません。
しかし、この1年間で先行研究をレビューし学習理論を学ぶなかで、学校外の学習の場へ参加し学習する様子を的確に捉えるために、学校や家庭、友人関係などの様々な学習の文脈を考慮した研究を行いたいと考えるようになりました。そして、研究対象とする活動を、デジタルメディアやデジタルファブリケーションなどに絞ることとしました。

ですが、どのように、具体的に何について研究で扱うかに関しては、現在思案中です。
そもそもこの研究をしたい!と思った興味関心(問題意識)を、ひとつの研究に落とし込むことの難しさを感じております。そろそろ完成させて、研究を前進させていきたいです。
ということで、現在の研究案(仮ですが)です。
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◼︎テーマ
高校生の生徒タイプと技術的流暢さに関する研究 ーラーニングエコロジーの観点からー

◼︎背景と先行研究
インターネットの普及・デジタルメディア環境の変化によって、青年たちは学校外でデジタルメディアを活用する機会が増加し、生活環境も変化してきている。このような背景をふまえ、若者がどのような実践を行っているかに関する研究が増加してきている。たとえば、SNS上でのプロフィールや投稿を通して自身を表現したり(Boyd 2014)、コンピュータゲームやオンラインコミュニティでゲームの戦略や課題解決を通じて学習したり(Gee 2005)する実態が報告されている。

めまぐるしく変化する技術やメディアコンテンツなどの状況下では、デジタルメディアを享受することにとどまらず、それぞれ場や技術に適応し、適切にデジタルメディアを活用し、主体的に創造・表現する「技術的流暢さ(technological fluency)」が重要である。Barron(2004)は、高校生が、家庭や学校、オンラインコミュニティなど様々な文脈を移行しながら、読書や授業、学校外の学習プログラムなどの学習資源を活用して技術的流暢さを学習していることを明らかにしている。また、そのような学習資源で構成されるような学習機会を提供する一連の文脈を「ラーニングエコロジー」と呼び、高校生が学習する様子を俯瞰的、文脈横断的にとらえている。Barronの研究では、技術的流暢さを必要とする活動の経験(Webサイトのコーディング、デザイン活動、ロボット工作等)とラーニングエコロジーの関連を明らかにしており、特に性差やどのような学習資源が技術的流暢さに効果的かに着目して分析を行っている。それによれば、女子生徒は家族の働きかけの有無が情報の専門科目の受講に関係すること、学校外の学習プログラムは技術的流暢さの経験と関連があること等がわかっている。

◼︎目的
一方で、家庭や学校での過ごし方は個々人で異なる。たとえば、溝上(2014)は、高校生の活動タイプなどをもとに、高校生を勉学タイプ、部活動タイプ、交友通信タイプといった6つに分類している。
しかしながら先行研究では、どのような学生が、どのような学習資源を持ち、文脈を移行し、技術的流暢さを身につけているのかについては明らかになっていない。実際の高校生に対して学習支援する際や、次の学習活動への参加を促す際には、生徒のタイプごとに支援することが有効である。
よって、本研究では、高校生の技術的流暢さの発達を支援する知見を導出するために、高校生のタイプによって、技術的流暢さに関する「ラーニングエロコジー」がどのように異なるのかを明らかにする。

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他にも、
・いかに高校生は文脈間を移動しているのか(次の活動に移行するトリガーとなる経験や仕掛けは)?
・技術的流暢さを獲得するにあたっての、デジタルメディアを扱う学校外の学習の場(Out-of-School TimeやAfter School Programs)の機能や役割は?(なぜ参加するのか?どうやって参加しているのか?どのような生徒が参加しているのか?)
・いかにアイデンティティや将来展望を獲得しているのか?
・技術に関しての関心が発達していく過程は、どのような要因で変化するのか?
など、気になることがたくさんあります。。。

しっかり今までのレビューを整理して、自分の気持ちも整理して、よいかたちに落とし込めるよう、踏ん張っていきたいと思います。
今年度もどうぞ宜しくお願いいたします。

【青木 翔子】

2015.04.10

【今年度の研究計画】正課外活動の活動内容とキャリア観の関係についての研究

赤門の隣の桜がきれいな時期になりました。新年度ですね。
2015年度第1回目のblogは、今年度の研究計画というテーマで
修士2年池田めぐみが担当させて頂きます。

私は、簡単に言うと、大学生の正課外活動(サークルやインターンシップなど)での学びについて研究しようとしています。
今までの研究から、大学生は正課外活動のなかで、汎用的技能や、エンプロイアビリティを高めていることが明らかにされてきました。しかし、いったい正課外活動の中のどのような要素が、学生の成長に影響を及ぼしたのかということに関しては明らかにされてきませんでした。
そこで、修士研究では、大学生の正課外活動のどのような要素(e.g. ロールモデルになるような人がいる、振り返りの時間が確保されている)が 学生の自己認識能力の向上や、将来展望の明確化等、キャリアに関わるプラスの変化に影響を及ぼすのかということいついて明らかにしていこうと考えています。


先日行われた、学際情報学府の研究構想発表会に提出した、アブストラクトはこちら。

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 大学生が授業のみならず,正課外での活動において学びを得ていることは,欧米において主にカレッジ・インパクト研究,トランジション研究の2つの文脈から明らかにされてきた(Astin 1993, Tchibozo,G 2007).こと日本においても,正課外活動での学びの成果は検証されはじめており,学生が正課外活動において汎用的スキルを獲得していること(山田・森 2010)や正課外で培われるOB・OGなどの人的ネットワークが就職活動に有利な情報を入手するのに効果的であることが明らかにされている(下村・堀 2004).このように,正課外活動は学生の学びや職業への移行を支える上で重要な活動である.しかし,正課外活動の種類は多岐にわたるにも関わらず,活動の種類ごとにその学習成果を比較検討した研究は少ない(Lauほか 2013, 秋元 2012).また,活動に含まれるどのような要素が,学生の成長実感に影響を及ぼしたのかということについては明らかにされていない. そのため,どのような要素を含んだ活動に参加すると,どのような学びが得られるのかということについてはわからないのが現状である.そこで,本研究では,正課外活動とキャリア観の関係に着目し,正課外活動のどのような要素(e.g. ロールモデルになるような人がいる、振り返りの時間が確保されている)が 学生の自己認識能力の向上や、将来展望の明確化等、キャリアに関わるプラスの変化に影響を及ぼすのかということいついて明らかにすることを目的とする.

参考文献

秋元政則. (2012). 「社会人基礎力」の形成と就職活動に対する課外活動の意義 : チームワーク要求型授業との比較から (東京大学教育学部比較教育社会学コース・Benesse教育研究開発センター共同研究 社会科学分野の大学生に関する調査報告書) - (就職). 研究所報, 64, 76-87.
Astin, A. W. (1993). What matters in college? : four critical years revisited. Jossey-Bass.
Lau, H.-H., Hsu, H.-Y., Acosta, S., & Hsu, T.-L. (2013). Impact of participation in extra-curricular activities during college on graduate employability: an empirical study of graduates of Taiwanese business schools. Educational Studies, 40(1), 26-47.
下村英雄・堀 洋元 (2004).大学生の就職活動に おける情報探索行動:情報源の影響に関する検 討社会心理学研究, 20, 93-105.
Tchibozo, G. (2007). Extra-Curricular Activity and the Transition from Higher Education to Work: A Survey of Graduates in the United Kingdom. Higher Education Quarterly, 61(1), 37-56.
山田剛史, & 森朋子. (2010). 学生の視点から捉えた汎用的技能獲得における正課・正課外の役割. 日本教育工学会論文誌, 34(1), 13-21.
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修士生活本当に最後の1年です。できることをコツコツと、頑張っていこうと思います。
行き着く先は、面白い研究であることを信じて。

今年度もどうぞよろしくお願いします。

池田めぐみ

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