2010.12.31

【私の学びの場】山内研究室2


みなさまこんにちは,修士2年の伏木田です。
今年も残すところ,本当にあとわずかですね。
大みそかよりもお正月よりも,頭の中は修士論文でいっぱい...。

さて,授業やゼミ以外での「学びの場」を紹介するシリーズ【私の学びの場】。
4回目の今日は,「山内研究室2」をお伝えいたします。

「山内研究室2」とは,山内研究室の院生が集う部屋です。
ポートフォリオ(【山内研の秘密】第5回参照)やお菓子箱(同シリーズ最終回参照)など,特徴的なものがたくさん置かれています。
わたしたち院生はここで何をしているのか,内容を整理しながら書きだしてみました。

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・研究に必要な文献を探して読む
・講読している学会誌を読む
・歴代の修士論文や博士論文を読む
・自分や他の院生のポートフォリオを読む

・授業に使う資料をつくる
・ゼミ発表で配るレジュメをつくる
・学会で発表するパワーポイントをつくる

・他の院生に研究の流れを相談する
・他の院生から研究についてコメントをもらう
・後輩にゼミ合宿(【山内研の秘密】第7回参照)のいろはを伝える
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研究室に置かれたあらゆる資料を読むことで,専門分野の知識や研究方法についての知識を積み重ねることができます。
そして,得られた知見を資料などの形にしていく中で,研究に対するアイディアをより深めていくことができます。
ひとりで考えることに詰まったとき,他の院生と進捗や課題を共有することで,解決の糸口が見つかり次へのステップへとつながります。

このように,院生が思考錯誤を繰り返すプロセスにおいて,「研究室2」は大切な役割を果たしているといえます。
ときには,お菓子箱のおいしいものを囲みながら,研究に遠からず近からず,いろいろ話をすることができるのも,「研究室2」の醍醐味です。

院生同士の思いやりと,修士論文を執筆している修士2年の緊張感と,先生の心配りがほどよく混ざり合った「研究室2」。
授業やゼミ,学会とはまた違った,居心地のいい充実した学びの場だとわたしは感じています。


[伏木田稚子]

2010.12.25

【私の学びの場】東京視点/东京聚焦

みなさま、こんにちは。修士2年の程琳と申します。
山内研究室院生が、授業やゼミ以外での「学びの場」を紹介する【私の学びの場】シリーズ。
第3回、程琳が紹介する「私の学びの場」は「東京視点/东京聚焦」です。

「東京視点/东京聚焦」は「身近な日本を中国へ」、「身近な中国を日本へ」伝えることを目指し、日中双方のメンバーが撮影した映像を配信する民間団体で、山内研究室の最初の外国人留学生の可越さんが発足したのです。

「東京視点」は、在日中国人の視点と日本市民の視点で、身の周りの日常を映像として捉え、日本語と中国語によりインターネットを通じて同時配信しています。ホームページができた2001年10月の配信開始以来、2週間から一ヶ月の頻度で、定期的にメンバーの誰かが1本のペースで10分前後の作品を発表し続けてきました。自主参加の形を取っている「東京視点」のメンバーは最初の日本人学生と在日中国人留学生のみでしたが、現在は口コミで一般の市民も多く巻き込まれてきています。中国側では人民日報のオンラインサイト人民網との共催で、これまで配信した作品は百本以上に達しております。

■初心者にやさしい東京視点
私が東京視点に出会ったきっかけは今年の初めでした。就職の相談に、研究室の大先輩の中国人留学生として、山内先生から可越さんのことを紹介していただきました。数回のEmailを交換したら、可さんから定期的に開く東京視点のイベントに来てくれないかとの誘いがありました。

そこで、大阪大学の大学院生の一人が「新聞売りのホームレス」を名に自分で取材撮影編集をまとめて作成したオリジナルな作品を披露しました。私は見るのも初回だったので、あれほどすばらしいものだからきっとプロの方だろうと思ったら、はじめの作品で、二回目の発表というふうに教えられて、あまりにも予想外で、大変びっくりしました。

実は、東京視点に一回だけ発表するメンバーもかなりいたようで、ここでは、プロを目指して作品募集を行っているわけではなく、敷居を低くし、まったくの初心者でもチャレンジできるようになっています。

自分の目にとどまることをカメラで記録し、われながらの形で一つの作品にし、そして多くの人に見せて共感してもらえるのは東京視点の魅力なところです。編集作業は複雑要求されず、基本ベースの技術指導は聞かれたら教えられる、必要なのは、作成者の独特なものを見る目と言葉に語る工夫だけです。

東京視点で顧問を務めている下村健一さんは、「素人だからというのは自分を不出来なほうに引きさげるための口実に過ぎないもので、世の中に、きっとあなたにしか見えないものがあるのだ。また、それを作品にするときは、"私もできる"と言うのではなく、"私だからできる"というような作品を作ろうという心が本当にすばらしい作品を育むのだ」とコメントを出しています。

■草の根だからできる東京視点
東京視点で作品を発表したメンバーはほとんど素人と言っていいのですが、みなそれぞれ自分の独自な視点から中国と日本を身近な出来事によって作品にし、遠く離れた人々に伝えています。そこで生まれた作品リストからも、テーマの広さと独特なアングルを垣間見ることができます。
たとえば、今年に入って、私がメーリスで知らされている編集会議などの定期行事で発表された作品名は「上海万博」「路傍のM」「新宿物語」「11人目のライナー」などがたくさん挙げられ、また編集会議以外に、大学との連携でメディアに関するワークショップ、日中関係に関わる講演や作品公表会などの情報もたっぷり得られます。つい先週土曜日に日中友好会館で「日中の未来を考える」のイベントも行われました。(http://blog.tvf2010.org/article/41734932.html)

今年10月で、10年目の誕生日を迎える東京視点は、ホームページのリニューアルや、これまでもっている100近くの作品ファイルをyoutubeや中国の土豆網などのメディアセンターにアップして更にこの草の根による交流の展開を繰り広げることが見られています。

日中間は国の境目を始め、政治、文化、言葉、衣食住まで、多くの共通点と多くの違いが存在しているのはどこまで一般の民間人に知られているのでしょうか。普通マスメディアからしか得られない情報だけでは、私たちは片耳片目人間になりがちとは誰でも知ってはいますが、そのもう一つの耳、もう一つの目はどこにめければいいのかと問われたら、草の根だからこそ伝えられる情報を東京視点が集めているのではないでしょうか。

URL: http://www.china.ne.jp/tv/
http://people.icubetec.jp/video/
[程琳]

2010.12.16

【私の学びの場】Historical Active Learning

みなさま、こんにちは。修士2年の帯刀菜奈と申します。
山内研究室院生が、授業やゼミ以外での「学びの場」を紹介する【私の学びの場】シリーズ。
第2回、帯刀が紹介する「私の学びの場」は「Historical Active Learning(歴史教育勉強会)」です。

Historical Active Learningとは、通称 HAL(ハル)と呼ばれる2009年に誕生した勉強会です。
これは、海外の能動的な歴史学習について勉強し、
歴史学習の新しい可能性を考えていくことを目標とする仲間が集まっている勉強会です。

■英語文献の読み方相談から、歴史教育の学びへ

きっかけは、先輩に持ちかけた私の相談でした。
帯刀「私、歴史教育系の英語文献を読むのが遅くて、
    誤訳があるんじゃないかって不安なんです。」
池尻「それやったら、定期的に同じ論文誌を分担して読みながら
    スキルアップ図ったらどうかな。」

そうしてはじまったHALは
・隔週交代で、英語文献を分担

・担当箇所の内容を共有し、ディスカッション

・次回の宿題を考える
という2時間の型になりました。

現在のメンバーは、
 .池尻良平(山内研 D1) ←発起人
 ・末橘花(東京女子大学4年,山内研 M0)
 ・帯刀菜奈(山内研 M2)
の3人に加え、オブザーバーとして2名が参加しています。

■ざっくり掴み、深く掘ることも、興味を分かち合う仲間となら楽しい
HALでは、1つのテーマを3ヶ月かけて学びます。
過去全3期はこんな学びをしてきました。

①そもそもどなたが有名な歴史学者なのか知るために、
第1期は歴史学習のレビュー論文を読みました。

②レビュー論文で知った研究者を中心に
第2期では歴史学習研究者(Sumuel S. Wineburgなど)の英語文を読みました。

③そして近年の歴史学習の動向を知るために
第3期にはTheory and Research in Social Education誌の10年分に目を通しました。

1回1回の文献から得る知識はもちろんですが、私にとっては調べ学習の手順を身に付ける場でもありました。

...というとかたい感じもしますが、ディスカッションは毎回盛り上がります。

■みんなで歴史学習の手引きとなるマップを創ることが夢

特に「従来の歴史学習における今後の展開と可能性」
を話し合うと、つい終了時刻を超過してしまいます。
このあいだのHALをちょっとお見せします。
歴史的思考力の歴史学習は今後どのような展開を見せるかについて意見を出し合いました。

「批判的思考力研究は、与えられた解釈を選択することから抜け出すのが難しそう」
これは批判的な意見です。

「学習者個人の歴史観を変えてくれるような存在、例えば、外国人とか、価値観も社会背景も違う歴史学習者と、日本人の歴史学習者を繫げるような支援が出来たらいいかも?」
夢は膨らみます。

私はこのディスカッションを、
先行研究をもとに「私だったらこうするのに」という感覚を育てて、
言葉にする訓練の場
として活用しています。

今期、基礎を固めることを主軸とした前期を土台に
HALは「世界の歴史学習のマッピング」に挑戦します。
① 世界の歴史学習研究が対象にしているトピックを知る
② 世界の歴史学習で獲得目標とされる能力を知る
③ 世界の歴史学習で行われている実践を知る
ことを大づかみにしようという試みです。

HALが、国内、国外の同じような興味関心をもった勉強会や研究会と知見を交換しながら
よりActiveになることを願って、これからも積極的に関わっていきたいと思います。

この勉強会に興味を持ってくださった方、ぜひtwitterで話しかけてください。
お待ちしております。

[帯刀 菜奈]

2010.12.14

【エッセイ】読書体験の共有と電子教科書

NHK出版が、読書体験を共有できるサイト「Share Reader」を公開しました。
このサイトでは、電子書籍アプリケーションで選択した部分をTwitterで投稿し共有することができるようになっています。
現在、「フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略」がAppStoreで、1週間限定で無料公開されています。
私も早速試してみましたが、本文を引用しながらディスカッションできることに新しい可能性を感じました。

KindleやiPadの登場により電子教科書が注目されています。現状は紙の教科書で行われてきたことのシミュレーションに関する議論が主流ですが、長期的には、紙を超える付加価値をどう実現するかという方向に向かうでしょう。そういう意味で、電子教材は教科書のメタファーを超えて、アプリ化し、ソーシャル化していくだろうと考えています。

読書体験の共有は、文献購読のゼミなどでもすぐに導入できそうです。予習として電子書籍で読んだ上で議論のポイントをあらかじめ共有し、授業では議論から始めることによって、報告から議論へ活動の中心を転換できる可能性があります。

図書館の電子化というインフラ整備が完了した暁には、読書体験のソーシャル化が大学の授業スタイルを大きく変える日が来るかもしれません。

山内 祐平

2010.12.10

【私の学びの場】まれびとハウス

みなさま、こんにちは。修士2年の安斎勇樹と申します。

私たち山内研の学生は、大学院の充実した学習環境の中で日々過ごしていますが、授業やゼミだけでなく、それ「以外」の場でも日々学んでいます。そこで、今週からは、私たち大学院生の授業やゼミ以外の「学びの場」を紹介する新シリーズ【私の学びの場】をお送り致します!


第1回、安斎が紹介する私の学びの場は「まれびとハウス(シェアハウス)」です。

まれびとハウスとは、20代前半の男女6人が運営する田端にあるシェアハウスです。シェアハウスといっても従来の単なるルームシェアとは異なり、「ふらっと寄れるプラットフォーム」をコンセプトに運営されている新しい形のシェアハウスです。

まれびとハウス
http://www.mare-bito.net/
http://twitter.com/mare_bito

毎晩何かしらのイベントや飲み会が企画され、それをTwitterを使って広報することで、日々新しい人たちが訪問し続ける仕組みをうまく作っています。2010年の4月にオープンし、これまでのべ1500人以上は訪問しているとか...。

イベントの内容は様々で、トークイベント、ワークショップ、勉強会、展示会から、単なる飲み会まで様々です。「黒メガネ好きが集まる会」なんて企画も...笑

僕はもともとの友人が運営している関係で、オープン当初からちょくちょく遊びに行かせてもらったり、イベントを企画したりしているのですが、今回は僕がどう「学びの場」として捉えているか、学習の観点から紹介したいと思います。


(1)シェアハウスだからこそ起こる内省と創発

一般的に外で参加するイベントには、何かしらの参加する「目的」があると思います。例えばワークショップに関するシンポジウムには、ワークショップに関心や悩みを持っている人達が集まるでしょう。ある意味、同質な人たちの集まりになりがちです。

ところが、まれびとハウスは特定のテーマがあるイベントだったとしても、テーマに関心がある人だけでなく、

・まれびとハウス自体に関心がある人
・たまたま立ち寄った(居た)人
・住民の友達
・ご飯を食べに来た人(笑)

など、比較的無目的的に参加している人も多く集まってくるのです。つまり、普段絶対に付き合わないようなタイプの人たちとの偶発的な出会いが誘発されやすい場になっているわけです。

こうした異質な人たちと出会い、そこで交流することは、学習にとっても大きな意味を持ちます。

例えば、自分の普段考えていることや活動を異領域の人にわかる言葉で説明したり、自分とは全く異なる生き方・働き方に触れることは、自分がしている活動や仕事の意味を相対化しながら考える内省の機会になります。

また、そこでの出会いが、思いも寄らない新しい仕事につながっているケースもよく見かけます。つまり、シェアハウス"外"での新たな学習活動が創発する機会にもなっているわけです。


(2)参加者から企画者、そして居住者へ

もう1点、僕が面白いと思っているのは、共同体としての学びです。

日々まれびとハウスで行われているイベントは、住民と協同すれば誰でも企画することが出来ます。僕は住民ではありませんが、何度もここでイベントをやらせてもらっています。

僕が学習の観点から面白いと思っている点は、シェアハウスへの「参加の仕方」が変容していくケースがあることです。

どういうことかというと、Twitterで興味を持ち、最初はただ立ち寄っただけの「新規参加者」が、次第に何度も訪れる「常連参加者」となり、やがて自分の関心や表現したいことを元に、イベントの「企画者」になっていく。更に、一部の人はそこで生活する「居住者」になっていく...というケースがあるのです。最終的に"住んじゃう"というのが面白いですよね(笑) 実際に、オープン当初から住民は半分以上が入れ替わっているようです。

まれびとハウスは「家」なので、目標を共有している実践共同体ではないと思いますが、周辺的な参加者が、少しずつ場を運営する十全的な参加者になっていく、そのアイデンティティの変容プロセスは学習の観点から見ても興味深いですし、それを誘発している場の運営システムも大変興味深いと思っています。


今は修士論文の執筆で忙しくなかなか遊びにいけていないのですが...笑、定期的に足を運びたい「学びの場」の1つです。興味がある方は、是非遊びに行かれてはいかがでしょうか。

[安斎 勇樹]

2010.12.05

【山内研の秘密】お菓子箱

みなさま、こんにちは。
博士課程1年の大城です。

山内研究室にある、ちょっと意外で便利な道具や文化をご紹介する
【山内研の秘密】!
シリーズ最終回となる今回は、「お菓子箱」をご紹介します。

山内研究室には冷蔵庫があります。
先生のご好意で、いつもお茶などの飲み物が常備されています。

その冷蔵庫の隣の棚の上にあるのがお菓子箱!



さて、今日はどうなっているのでしょう?
ちょっと中身を覗いてみましょう。



ちょうど先日マレーシアに出張があったため、
不思議なお菓子も混じっていますね。「Rocky」...?

冷蔵庫の飲み物は、院生のみんなで、好きなものをまとめて注文しているのですが、
こちらのお菓子箱の中身は、山内先生が直接買って来てくださるものがメインで、
時期によって、先生や院生の出張先・帰省先のお土産が入っていたりもします。

さすがは美食家・山内先生!どのお菓子も美味しいです。うまうま。
しかも、いつも"誰が食べるか"を予想しながら考えて買っているとのこと。
例えば、私は「こげめし」というお煎餅が大好きで、箱にあると必ず食べています。



↑これ

醤油のしみ具合とプチプチパリパリの食感がたまらない~!!

...ということを、先生は全てお見通しなのだった!


しかし、そんな先生といえども、やはり新製品や流行りものには弱いのでしょうか?
ごくたまに、よくわからないものも補充されます。



↑???

その場にいた院生みんなで試してみましたが、これ、本当につかめます!
ポテチをつかんだ後に指をすり合わせる、あのしぐさまで再現可能!
しかしながら、パソコンを使いながらではかえって不便という悲しい発見もありました。

などと、茶化してしまいましたが、こんな変わり種もお楽しみのひとつです。
研究や課題に苦戦して、院生がピリピリしてしまっている時でも、
一瞬で研究室の空気が和みます。


また、(これは私だけかもしれませんが、)
実は、先生が冷蔵庫の飲み物を取りに来られるタイミングや、
お菓子箱を補充しに来て下さるタイミングで、
先生に話しかけるタイミングを見計らっています。

ご多忙の中、「いつでもデスクに来てもらって大丈夫です。」と言ってくださる山内先生。
実際、急用の場合には遠慮なくそうしていますが、
人間、食べ物や飲み物に手を伸ばすタイミングというのは、
どんなに短い時間でも、その人が一呼吸入れているタイミングなのではないかな、
と私は考えています。

そこで、お茶やお菓子をつまみながらお話しできるくらいの、
ちょっとした用事で先生に話しかけたい時には、そのきっかけを、
冷蔵庫やお菓子箱に来られるタイミングでつかんでいる...つもりです。


ということで、山内研のお菓子箱は、山内研のオアシスです。
胃袋的な意味でも、精神的な意味でも。

おやつ、お茶、お食事、お酒、どんなレベルのものでも、
「いっしょにものを食べる・飲む」ということは、
ともに生活していくうえで、とても大事なことだと思います。

山内研究室は、「同じ釜の飯」ならぬ「同じ箱の菓子」を食った仲間!
普段から「食」を通じた温かいやりとりが大切にされています。

[大城 明緒]

2010.12.01

【エッセイ】学習は時間によって保証されるのか?

ちょっと前になりますが、アメリカ合衆国の下院教育労働委員会で大学の単位時間に関する議論が行われました。

下院教育労働委員会でオンライン学習の普及による履修単位時間の不透明化について議論。厳正な時間確保を求める議員に対し、大学認証団体はピアレビューを用いた柔らかい定義が必要と主張。MT @chronicle http://bit.ly/aONnpb

アメリカでは100% eラーニングで卒業資格がとれる大学をはじめ、多くの大学で一部のコースをオンラインで履修できる仕組みを導入しています。

在宅で学習する場合、従来の単位時間の考え方がなじまず、空洞化している(1単位あたりに必要な学習時間をとっているかどうかが不明である)のできちんと管理すべきであるというのが下院労働委員会の立場で、現場を審査している大学認証団体(アメリカでは教育省でなく、認証団体が大学の質を審査しています。)は、時間ではなく人による評価などより実質的な方法を優先すべきであると主張しているわけです。

学習を時間で保証するのか、アウトプットを人が測定することによって保証するのかについては、答えが見えない難問になっているようで、現在参加している国際会議ICCEでも議論が行われていました。

同じ場所に集まって講義をするという条件のもとでは、教員が話す知識量と記憶する知識量は時間によってある程度コントロールすることができます。
しかし、eラーニングのようにインタラクティブな仕組みを取り入れたり、プロジェクト学習のように知識よりも思考力を育成するような授業では、時間は学習成果の要因の一つであっても、絶対的な存在ではなくなります。今後大学の授業が多様化するに従って、この問題は深刻化するでしょう。

「学習時間」は世界中の大学で、長い間学習を保証する柱として使われてきました。しかし、近代型の大学モデルが曲がり角を迎えつつある今、この大黒柱を考え直すべき時期にきているのかもしれません。

山内 祐平

2010.11.26

【山内研の秘密】ブログシステム

みなさま、こんにちは。博士1年の池尻良平です。


山内研究室にある、ちょっと意外で便利な道具や文化
をご紹介する【山内研の秘密】シリーズ!そろそろネタも尽き始めましたので(笑)、
第8回ではまさにこの「ブログシステム」についてご紹介しようと思います。

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●山内研のブログシステム
 山内研のブログはあるテーマをもとに、週替わりで院生が1回ずつ担当していく形になっています。順番は、修士2年→修士1年→博士です。


 ブログのテーマは、毎週行われているゼミの中で、「次は何にしよう?」と議論されて決まっていきます。ただ、年度始めは「院生の研究紹介」、年度終わりは「今年1年の振り返り」に関するテーマになることが多いです。他には、大学院志望者向けに教育や学びに関する理論を紹介したり、研究室周りのちょっとした面白いことを紹介したりしています。


 それから、毎回テーマのところで【山内研の秘密】や【突撃!隣の研究者】といったタイトルが付けられていますが、これは修士2年の初めに担当する人がタイトル案をいくつかゼミで出して、みんなで採決を取る形を取っています。僕の1つ上の代の坂本さんや僕の場合は、テレビ番組になぞらえたテーマにする傾向があったのですが、今年の安斎くんは割とクールなタイトルになっています(笑)


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●山内研のブログを書くとこんなメリットがある!
 これは僕が山内研のブログを3年間書いていて感じたことですが、このブログを書くシステムには大きく4つのメリットがあるように思います。


1. 良いリフレクションの機会になる
 特に年度始めの自分の研究紹介や、年度終わりの振り返りの記事を書く時は、自分がもやもや考えていることを文字にするので、院生にとっては良質なリフレクションができる機会になります。ブログの記事を書いては考え直し、考え直しては書いているうちに5時間くらい経っていた経験もあります!


2. 情報の発信の仕方を学べる
 山内研のブログは、学部生や教育や学習を専門としていない人が読むことを前提に書いています。なので、自分の研究内容や、例えば「正統的周辺参加」といった専門的な内容を、自分なりにわかりやすく噛み砕いて書く必要が出てきます。

 僕もM1の頃はこれを意識して結構推敲に時間をかけたのですが、これが案外研究者に必要なスキルだったりもするので、ちょうど良い練習の機会になっているんじゃないかなと思っています。


3. 研究室にまとまりができる
 山内研のブログシステムのところで書いたように、このブログはみんなで面白いテーマを考えたり、誰が何を書くかなどを普段の中で話し合う良い機会になっているので、ゆるーくではあるんですが研究室に一体感が生まれます(笑)

 それと、他の院生の研究や興味・関心などを知ることができることも大きなメリットだと思います。例えば、新しく入ってきたM1の研究内容を読んだ後だったら、ゼミ後の飲み会で詳しく聞いてみたり、インタビューが必要なテーマの時はどんな話しが出て来たのかをみんなで一足先に聞いたりできるので、研究室内のまとまりにも一役買っています。


4. コミュニティが広がる
 山内研のブログは、リアルタイムな研究を紹介しているので、同じ関心を持つ学部生や社会人の方が山内研に興味を持ってくれることにも役立っているかなと思います。

 特に大学院進学を考えている学部生の方だと、ブログを読んでくれている率が高い印象があります。そうやって、色んなカラーの学生さんが研究室に入ってきてくれて、その知り合いの方とどんどんコミュニティが広がっていくというメリットもあります。

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 最近だと、twitterでブログの更新をお知らせしているので、目には見えないけども、もっと色んなカラーの人が山内研とつながっていたら面白いなあと思っています。


[池尻 良平]

2010.11.24

【エッセイ】ラーニングコモンズとラーニングセンター

本日、図書館総合展のフォーラムで「大学教育とラーニング・コモンズ -学習支援のあり方について-」という講演をしてまいりました。
(講演はUstreamで録画されており、こちらからご覧になれます。)

この数年、日本の大学図書館でラーニングコモンズの整備が急速に進んでいます。学生の学習区間が確保されるという意味で、そのこと自体は歓迎すべきことです。
ただ、日本のラーニングコモンズは、学習支援よりも空間の整備が先行しているのが現実であり、ラーニングコモンズのいわば「趣旨」である学習支援については十分とはいいがたい状況にあります。

そこでこの講演では、9月末に見学したTexas A&M大学 Student Learning Centerの事例や、全米ラーニングセンター協議会(NCLCA)の動向などから、ラーニングコモンズに導入可能な学習支援について検討しました。ラーニングセンターは、図書館が中心となっているラーニングコモンズの動きに先行してアメリカの多くの大学に設置されている学習支援組織です。

NCLCA前会長のAlan Claigによれば、現状ラーニングセンターの主要なサービスとして以下のようなものがあるそうです。

アカデミックなテスト・評価
学習スキル・学習ストラテジー
チュータリング (ドロップイン・予約)
チーム学習 (e.g. SI, SLA)
電子教材 (CAI)
リメディアル教育コース
教員向けサービス
広報
教材(紙・視聴覚)
スタッフやチューターのトレーニング
情報端末室
他の大学サービスへの接続
相談とカウンセリングのパートナー
障害を持つ学生向けサービス
キャンパス評価
プログラム評価

このリストのほとんどが日本のラーニングコモンズでは手つかずの状態になっています。空間の整備と同時に、ラーニングコモンズを真の意味で学びの拠点にするために、学習支援についても真剣に検討すべき時期にきているように思います。

[山内 祐平]

2010.11.20

【山内研の秘密】ゼミ合宿

みなさま、こんにちは。
修士1年の土居由布子と申します。
山内研究室にある、ちょっと意外で便利な道具や文化をご紹介する
【山内研の秘密】
シリーズの7回目をお送り致します!

今回は「ゼミ合宿」をご紹介!

山内研は春と夏の年2回、中原研と一緒にゼミ合宿をします。今回は特に夏合宿を紹介したいと思います。
夏のゼミ合宿は、普段クラスや研究で忙しい院生が「教育の古典から学ぶ」ことが主旨となっています。
レクリエーションや親睦会もあります。
山内研と中原研の修士一年生が協力して準備から当日の学習プログラムの進行までを担当します。
それぞれの担当の割り振りはその代によって多少変わりますが、大体は以下のような担当があります。

●しおり係:決まったこと、合宿のプログラムやスケジュールなどの詳細を記載し、全員に配布・送信する。
●宿係:合宿先について全員に希望を取ったり、宿先への連絡、プログラム後の懇親会の幹事、会計報告等。
●学習プログラム係:3日間の学習プログラムを先生方、先輩方から意見をもらいつつ、デザイン、準備し当日はプログラムの司会進行もする。

2010年の夏は、群馬県の伊香保で2泊3日の合宿に行ってまいりました。
私は学習プログラムを担当しました。

夏合宿の学習プログラムの内容は大きく2つに分かれます。(学習プログラムは毎年検討され、変更されることがあります)

一つは古典的教育論の学者についての「ポスターセッション」、二つ目は発表された全学者(今回は9名)の教育論についての関係性をまとめた「マップ」づくりとその発表です。

ポスターセッションは、まず合宿の数ヶ月前にくじ引きで、二人一組で古典的教育学の学者一人を担当するように割り振り、各ペアはその学者の教育論について文献を読んでA1サイズのポスターに(合宿までに)まとめます。合宿ではそのポスターを用いて発表しあいます。(学者:デューイ、レイヴ、エンゲストローム、レヴィン、ブラウン、ヴィゴツキー、ピアジェ、スキナー、など)

               <<<1日目>>>

合宿1日目の午後からさっそく発表です。宿泊先の会議室で二手に分かれて二者が同時に発表するのを他の院生が聞きに行くというスタイルでやりました。同じ学者を担当したペアは同じポスター(合宿前に事前に作っておいたもの)を使いますが、同時に発表するのではなく、別々にやります。二手にわかれるものの、全員が9名の学者の発表を全部聞けるよう発表は自分が発表するのをあわせて9回あります。1回の発表は質問時間等をあわせて20~30分ですが、9回分を一気に一日でやるわけではありません。初日の午後は4人の学者の発表だけです。

各発表後の質問時間とは別に、学者4名分の発表が終わるごとに「なりきりタイム」があります。
そこでは、各発表者4名がファシリテーターとなり、他の院生は自分が聞いた発表者(ファシリテーター)のもとに集まり、4グループに分かれます。
各グループのメンバーが一人ずつ5~6枚の「質問カード」(学習プログラムが事前に準備)をひいてその学者になりきって、答えます。
例えば、「今だったらどのような教育をしたいですか」や、「自分の考えにそぐわない学者は誰ですか」などの質問に対し(ピアジェグループであれば)ピアジェになりきって答えるというのを一人ずつ回していくといった感じです。

各発表、そしてなりきりタイムでは各学者の写真のお面を発表者が頭にかぶることになっています。なりきりグッズです。少しでもなりきってもらうためのちょっとした仕掛けです。

各学者のお面

▲9学者のお面たちです

               <<<2日目>>>

午前のポスターセッションが終わったあと、レクリエーションを挟んで夕方に「マップづくり」をしました。
個人制作のマップづくりでは、各学者の小さな顔写真を貼り付けながら、聞いた発表と配布資料をもとに、独自の観念や、自分の研究の立ち位置も踏まえつつ、各学者間の関係図を書いてもらいます。
個人で制作したマップ例

▲個人で制作したマップ例

               <<<3日目>>>

書き終わったものは三日目の朝に会議室で展示されるので、そこで他の人が描いたマップを閲覧します。
そのあと、グループ分けがあり、大体4~6人で1グループになってもらいます。
そのグループ内で自分が描いたマップについて説明しあってもらったあと、グループでオリジナルのマップを作ってもらい、発表です。

グループでマップを作成している様子。

▲グループでマップを作成している様子。

グループで制作したマップの一つ「ヴィゴツ木ー」
▲グループで制作したマップの一つ「ヴィゴツ木ー」

グループのマップを発表している様子。演劇風になりきってくれました。

▲グループのマップを発表している様子。演劇風に各学者になりきりながら説明してくれました。

これで学習プログラム終了となります。

合宿中間にあたる二日目の昼ごろ、伊香保のグリーン牧場に合宿メンバー全員で訪れ、バーベキューを思う存分食べたあと、動物たちと触れ合いました。

 グリーン牧場

▲伊香保グリーン牧場

良いリフレッシュになったと思います。このように夏合宿ではレクリエーションも取り入れています。

学習プログラムについては合宿後様々な課題が浮かび上がってきました。
より良い学習プログラムを合宿で行っていくため、今後改善していきたいと思います。

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