2009.12.29

【エッセイ】IKEAのBlended Learning

私の研究の守備範囲にはワークショップやプロジェクト学習などの学習活動のデザインとデジタル教材のような学習を支援する人工物のデザインが含まれています。なぜこれらを同時に研究しているのか不思議に思う人もいるようなので、最近見つけた興味深い事例として、北欧の家具販売店であるIKEAの初任者研修プログラムを紹介したいと思います。

一般的に初任者研修プログラムは、その企業の理念(Concept)を理解することが重要視されます。IKEAのプログラムでも、企業理念の理解がその目標にあげられています。
この目標に対してよく使われる方法は、偉い人が理念を語るというやり方です。創業者など強い語り手の場合は動機の向上には一定の効果がありますが、企業の歴史に関する知識の獲得で終わり行動につながらないという問題が生まれます。通常企業理念は行動指針でもあるので、この問題はクリティカルです。

IKEAのプログラムでは、この問題を解決するため、学習者が別の学習者を教えるというアプローチをとっています。
このプログラムでは、研究活動→学習素材の制作→他の人に教える→テスト→パフォーマンスレビューというサイクルを課題のレベルをあげながら3回行います。この過程で、学習者は、 研究者、教材制作者、教師、チームマネージャーという立場の変更を行うことによって多様な視点と深い理解が得られるという仕組みになっています。

このような学習プログラムは、潤沢な学習資源がなければ成立しません。それを支えているのが、e-learning環境です。企業理念に関するショートクリップや、探索学習用のドキュメントデータベース、過去の受講者の作品を収容したWiki、相互評価システムなどが、学習活動のインフラになっています。

このプログラムは大成功し、参加者や配属された部署の上司から高い評価を得ています。また、従来の研修に比べてほぼ半分の時間の密度の高い学習になり、コストも大幅に削減されました。2009年Brandon Hall Excellence in Learning Awardsにおいて、Best Use of Blended Learningを獲得しています。

この事例は適切にデザインされた学習活動とそれを支える情報システムが有効に結合されたときの可能性を示しています。情報化社会においては、情報技術の裏付けがない学習環境はロジスティクスのない企業と同じく成立しません。活動デザインのない学習環境は、製品デザインのポリシーがない企業のように破綻します。この2つの要素をどう統合していくかが、今後の学習環境を考えていく上での鍵だと考えています。

[山内 祐平]

2009.12.24

【山内研の食卓!】PAISIBLE

山内研の食卓!第5回は修士1年の帯刀菜奈より、クリスマスにぴったりのフレンチレストランをご紹介いたします。
その名もPAISIBLE(ぺジーブル)。お客様をおもてなしするときにだけ訪れる、とっておきのフランス料理屋なのです。
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春日通りのそのまた奥に突然姿を現す大きなクスノキ。この根元にお店はたたずんでいます。
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本日のランチメニューは、ちょっとリッチなホリデー気分でPrestigeをチョイス。
アミューズに椎茸とムースが蓮華に乗って運ばれてきます。
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ふんわりとした舌触りに思わずうっとり。山内先生の「安心する味」との表現に、一同納得。
続いてミネストローネ。
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アリスのティーパーティーに出てきそうなちょんぴりサイズのかわいいカップを覗くと、温かいさっぱりとしたトマト味がたっぷり野菜とともに。
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つぶつぶ食感のビーンズとしゃきしゃきキャベツの2層の歯ごたえの中、舌の上でまったりとろけるのは濃厚なフォアグラです。あぁ、贅沢な前菜。

そして本日の主役の登場です。ラ・パン!!
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マッシュポテトのやわらかい甘さにはさまれて、しっとりとした肉が顔を出します。しつこくないのに濃くがある。フレンチのハンバーガー、ここに現る。
ランチメンバーで料理のおいしさを言葉にしてみようと試みるものの、私が覚えているのはうまい表現よりも、たえない笑顔です。理屈抜きにおいしいってこと。

おなかいっぱいになったところで・・・
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タルトにティラミス、シャーベットは、お絵かきパレットのようなプレートに芸術盛り。

私のお勧めはすっぱくてジューシーなパッションフルーツシャーベットです。甘いものは苦手だけれど、コースのデザートが食べたい、そんなワガママ心を満たしてくれる一品です。


味はもちろん、彩りも美しく、からだに優しいフレンチをつくってくださるのはシェフの日田さんです。
また来たいと思うのは、スタッフの方々がBe Our Guestの暖かい雰囲気で接してくださるからでしょうか。
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心がほっこりするぺジーブルのフレンチが、素敵な聖夜を演出してくれるはず。
Merry Christmas and Kuishinbou ANZAI !!!
[帯刀菜奈]

2009.12.18

【山内研の食卓!】とん豚テジ

みなさま、こんにちは。
山内研がゼミの後によく行く本郷のお店を紹介していくシリーズ
【山内研の食卓!(通称:食いしん坊!あんざい)】
第4回目は修士1年の安斎が担当させていただきます。

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その前に・・・
今回のゼミ日(12月10日)は、ちょうど山内先生の42歳のお誕生日でした!



ということで、ゼミの発表スライドにお祝いスライドを忍ばせてサプライズ!


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改めておめでとうございます!

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さて、いくら誕生日ケーキを食べたとはいえ、
3時間もみっちりゼミをやるとおなかが減りますよね。
肉が食べたくなりますね。


そういうわけで今回のお店は「とん豚テジ」です。

豚焼肉を中心とした韓国料理を扱っている人気のお店です。
最近はテレビでも紹介されていますね!


このお店の名物はこれ「カンナ三段バラ」です。


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カンナで削ったような薄くスライスしたバラ肉を、
レタスやキムチと一緒に鉄板で焼いていきます。


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鉄板が斜めに傾いているのがわかりますでしょうか?
こうすることによって、豚の余分な脂を落としながら焼くことが出来るのです。


ちなみに、一連の焼く作業は全て韓国人の店員さんがやってくれます。

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ここの店員さんは皆テンションがMAXで、とても賑やかなんです。


味も絶妙です!やわらかい豚肉と、シャキッとしたレタスの相性も抜群です。

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そりゃ、白米が進みますよね!池尻さん!

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さて、お料理がおいしいと、会話も弾みますよね。


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これは助教の北村さんがM2の池尻さんにトマトを食べさせてあげている図です。
研究相談だけでなく、健康面でもサポートしてくれているんですね!!


D3の森さんは今宵もワインをすごいペースで飲んでいます。

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森さん、それは水ではありませんよ!


岡本さんは肉食系女子だったようです。


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そんなこんなでお腹も満たされ、酔いもまわってくると、
面白いお酒を頼もう!という話になります。


お、山内先生が何か発見したようです。嫌な予感がしますね!

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まずは「野いちごマッコリ」「マッコリビール」です。

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野いちごマッコリはまぁまぁおいしかったのですが、池尻さんが頼んだ「野いちごマッコリミルク」は微妙だったようですね。


マッコリビールの方は、マッコリでもないビールでもないとても変わった飲み物でした。

先生も困惑しています。

(やたら渋いですね)


お次は「きゅうり焼酎」です。

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これは正直、怪しすぎて本当に頼むかどうか軽く議論が起きたのですが
学習者としての知的好奇心が勝ってしまい、ついつい注文してしまいました。


ところが、これが予想を良い意味で裏切られ、案外イケる!

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さらには中に浸かっているきゅうりが新鮮でおいしい!
ということを山内先生が発見しました。さすがです。

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そんなこんなで、今夜もよく学び、よく食べ、よく笑った山内研の1日が終わりました。



最後に、仕方なくこれで締めたいと思います。



食いしんぼう!あんざい!


[安斎 勇樹]

2009.12.14

【メモ】変革のための逆説的十戒

組織の変革を進めるための身につまされる十戒がありましたので、訳しておきます。
政府機関向けに作られたようですが、大学や企業にもそのままあてはまりそうです。

Change Anyway: The 10 Paradoxical Commandments of Government

1. 良い仕事の報酬はより多くの仕事である。たとえそうであっても良い仕事をしなさい。

2. 効率化によって得られた資金は、すぐに、そして永久にあなたの予算からなくなる。たとえそうであっても効率化しなさい。

3. あなたがたてた骨太の改革案は次の経営陣のもとで実行されることはない。たとえそうであっても骨太の改革をしなさい。

4. 改善について考える時間はない。たとえそうであっても時間を作りなさい。

5. 部下は変革の全てのステップに抵抗する。たとえそうであっても彼らを巻き込みなさい。

6. 未来は予測不可能で、あなたの手にあまるものである。たとえそうであっても計画をたてなさい。

7. 問題がおこったときに関心を持ってくれるのは報道だけである。たとえそうであっても彼らと成功した話を共有しなさい。

8. 法律はやりたいことをそのままやらせてくれない。たとえそうであっても(プロジェクトを)単純明快にしなさい。

9. 人を育てたらその人たちはよりよい職に移っていく。たとえそうであっても彼らを訓練しなさい。

10. あなたのアイデアで最もよいものは他の人を引き立てるのに使われ、一番まずいものはあなたに難癖をつけるのに使われる。たとえそうであってもあなたのアイデアを共有しなさい。

[山内 祐平]

2009.12.11

【山内研の食卓!】炭火串焼 やき龍 本郷店

みなさま、こんにちは。
山内研がゼミの後によく行く本郷のお店を
紹介していくシリーズ【山内研の食卓!】
第3回目は修士2年の岡本が担当させていただきます。
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...山内研では、月1回程度のペースで学生が研究の進捗などをゼミで発表するのですが、
この日、私は2009年度、そして大学院生活最後のゼミ発表でした。
しかも今回は私がブログ記事担当。

そんなわけでゼミ後、山内先生が「今日はどこに行こうかなあ?」とおっしゃった時、
「先生、焼きとりが食べたいです!」と、自分の好物を主張してしまいました。
というわけで今回は、大好きな焼きとりのお店を、渾身の力でご紹介させていただきます。

今回ご紹介させていただくのは、『炭火串焼 やき龍(やきたつ) 本郷店』です。
こちらは本郷三丁目の駅から歩いて3分、ジューシーな焼きとりとお酒がおいしい、
素敵なお店です。

お店の入口はこんな様子。暗がりの中に浮かぶ温かい光にほっとします。

さっそく、おいしい焼きとりを写真とともに紹介してまいります。


サラダと「ねぎま」。ジューシーなお肉とネギの甘みがたまりません。


「はつ」。やわらかさと歯ごたえが絶妙なバランスに焼き上がっています。


「つくね」。全体のふんわり感に、お肉自体の旨みとコリコリした歯ごたえが合わさり最高です。


「手羽」。まさにジューシー☆です。


そして「ぎんなん」。そう言えば、この前まで鮮やかな黄色で目を楽しませてくれた東大
本郷キャンパスの銀杏の葉も散り始め、今は地面が落ち葉の絨毯になっています。
(でも今は、そんな風情より食欲!ぎんなんもホクホクと絶妙な焼き上がりです。)


ご紹介した以外にもいろいろな串をいただき、ぎんなんを食べる頃にはもうお腹いっぱい。
...実はやき龍は、食べ物だけでなくお酒もおいしいのです。特に梅酒は、梅酒だけでこんな
分厚いメニューがあるくらい豊富な品揃えがあります。


ちなみに店内はこんな様子。威勢の良い店員さんのいる温かい「やき龍」で、今日も研究室の
みんなでおいしく楽しく盛り上がりました。ゼミ後のご飯って良いですね。
ブログをご覧のみなさまも、本郷キャンパス近辺に来られる際にはぜひ!


さて、先週担当だった大城さんも書いていた通り、山内研のブログ記事は学年ごとに、学年の
中では氏名の50音順で担当をしています。今週の私で修士2年の3人が終わりましたので、
来週からは修士1年生に担当が変わります。

研究室のメンバーをこちらのページから見てみると、修士1年生のトップバッターは・・・・・・
そうです!来週はついに、惜しくも本シリーズのタイトルに名前を冠せなかった
「食いしん坊 あんざい」さんの登場です。
どこのお店を紹介してくれるのか、乞うご期待です。


[岡本絵莉]

2009.12.07

【エッセイ】キンドルと電子教科書

アマゾン・キンドルを買いました。キンドルはいわゆる電子書籍端末のカテゴリーに入りますが、携帯電話のネットワークにも接続でき、どこでも書籍を購入することができます。詳しいレビュー記事はこちらからご覧になれます。
実際に使ってみると、想像以上によくできています。電子ペーパーを利用しているので、画面は非常に美しく、ちょっと見たところ、プラスチックに印字しているのではないかと見間違えるクオリティです。また、販売している電子書籍は紙版の半額程度で、最近の円高もあいまって、専門書が1,000円程度で購入できるのは衝撃的です。ウェブにもアクセスでき、最近のアップデートでPDFも読めるようになりました。
アメリカでは、電子書籍端末の人気が上がっており、大学や図書館などで、電子教科書の利用に関する実験プロジェクトが始まっています。また、韓国では初等中等教育に電子教科書を導入する計画が進んでいます。
電子書籍端末は個人情報端末として長期的に大きな可能性を持ったデバイスだと思いますが、個人的には電子教科書として普及するレベルには達していないと考えています。
現在の端末は、紙と同等のインタラクションを備えていません。ブックマークや下線をつける機能はありますが、カーソルで指定するタイプで、ペンや指などで自然にできるようにはなっていません。教科書は情報を入手するメディアであると同時に、考えながら書き込み、知識と相互作用するためのメディアでもあります。「自然に汚せる」ところまでインターフェイスが発達しないと、今まで情報端末に触れたことがない層のユーザーまで巻き込むのは難しいと思います。教科書に載っている著者に不謹慎な落書きができないと、情緒的にも受け入れられないでしょう。
また、学校で使用する場合はバッテリの問題もあります。キンドルは通信さえしなければ2週間バッテリが持ちますが、通信しているとみるみるバッテリが減ります。無線LANへのアクセスもできるようにした上で、通信していても24時間バッテリが持つところまで改良しないと、電源ケーブルが邪魔になって使えないでしょう。
画面のカラー化や反応速度の向上など、技術的に改善すべき事はたくさんありますが、最大の問題は端末の価格です。現在のキンドルの価格は$259(日本円で25000円ぐらい)ですが、1万円を切るレベルにならないと、全員に配布するのは難しいと思います。(逆に言えば、このレベルになると、紙の教科書よりも電子教科書の方が安くなり、一気に普及が進む可能性があります。)
個人的には、これらの条件を満たして、電子教科書が普及段階に達するのは10年後の2020年前後であると考えています。電子教科書の普及は、実は教科書の問題にとどまらず、全ての国民が情報端末を等しく持つという、情報基盤の完成を意味します。この大きな可能性をつぶさないためにも、研究開発レベルではない本格的な導入には、あえて慎重な立場をとるべきではないかと考えています。

[山内 祐平]

2009.12.04

【山内研の食卓!】手打そば 田奈部

皆さま、こんにちは。

山内研がゼミの後によく行く本郷のお店を
紹介していくシリーズ【山内研の食卓!】
第2回は修士2年の大城が担当させていただきます。

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今回ご紹介させていただくのはこちら!
手打そば 田奈部です。
本郷三丁目の駅のすぐ近くにあるオシャレなお蕎麦屋さんです。

初めに、数々の一品料理...そのほんの一部をご紹介しましょう。

まずは、私の大好きな卵焼き。


見て下さい、この卵と醤油と大根おろしのハーモニー!(ジャパ○ットたかた風に)
なかなか家では再現できませんよね。
出汁のしみわたった卵の層をかみしめる、幸せのひと時です。じゅわわーん。


小松菜と浅利のからし和え。ピリリとした辛みで、食欲が増します。


そばがき。なんだかもう、ホッとしてしまいますね。


穴子の白焼。このお店の穴子は常に美味しいのですよ。


天婦羅盛合わせ。大好きなキノコが入っていてウキウキしました。肉厚な椎茸は最高ですね。


そして締めのお蕎麦。

私が頼んだのは、一番スタンダードなせいろです。
程良いコシのある触感がたまりません。するすると一杯、行けてしまいます。
あー美味しかった!

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お料理を楽しみながら、今夜もみんなでおしゃべり。
ゼミでは話し足りない研究発表や英語文献のディスカッションの延長戦になったり、
はたまた他愛もないネタ話に花を咲かせたり。

この日は、今回のブログのシリーズタイトルの"没案"で盛り上がりました。
実は、ylablogのシリーズタイトルは、ブログ執筆のトップバッターである、
「M2の五十音順の最初の院生」が毎回候補を考えているのです。(つまり今年はM2池尻さん)

ゼミでの多数決の結果、今回は「山内研の食卓」に決定したわけですが、
惜しくも票が届かなかったのが「食いしん坊 あんざい!」でした。
「M1安斎くんが毎回おいしそうにご飯を食べる写真を載せる」
というサブルールまで用意されていたにもかかわらず、残念ながらの落選です。

安斎さんは没になってホッとしていたようですが、
せっかくの秀逸なネーミング。このまま日の目を見ないのはもったいないので、
昨今のECOの精神に則り、ここにリサイクルさせていただきました。
ということで、最後はこの台詞で締めたいと思います。

食いしん坊 あんざい!

[大城 明緒]

2009.11.27

【山内研の食卓!】ちゃんこ浅瀬川

みなさん、こんにちは。寒くなってきましたがお元気でしょうか?


今週からは、山内研がゼミの後によく行く本郷のお店を
紹介していく新シリーズ【山内研の食卓!】が始まります。

第1回は修士2年の池尻良平が担当させてもらいます。

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さて、最近めっぽう寒くなってきましたね。
山内研のゼミは夕方から20時まであるので、
この時期は終わった頃にはさらに冷えています。

「あー、おなか空いたね。今日はどこに行こうか。
寒いので何かあったかいものが食べたいね。」

そんな時に訪れるのがこちら、ちゃんこ浅瀬川

本郷の裏路地にある、真っ赤な提灯が目印のお店です。

中に入ると、相撲の写真が一杯あって、元気な女将さんが迎えてくれます。
入った瞬間から、「よーし、ちゃんこ食べるぞー」という気持ちになってきます。

早速ちゃんこ鍋を注文するのですが、
山内研ではちゃんこが来るまでに必ず注文する1品があります。

それがこの自家製のさつま揚げ。

普通のさつま揚げは噛むとキチキチとして魚の味がしますが、
ここのさつ揚げは噛むと歯がビーズクッションに沈んでいくような、
もっっぢゅ〜〜とした食感で、とても甘い味がします。

なんと、ここのさつま揚げには山芋が練り込まれているのだそうです。

「いやー、やっぱりおいしいですね〜」と
お酒を飲みながら話しに花を咲かせていると、
本日の主役、塩ちゃんこ鍋がやってきました。

ここの塩ちゃんこ鍋は、スープにしょうがとにんにくが入っていて、
一口飲むと冷えて疲れた五臓六腑にじわ〜と染み渡っていきます。

写真のように具もたっぷり入っていて、
ニコニコした女将さんが手際よくよそってくれます。

シャキシャキしたごぼう、
スープの染み込んだ糸こんにゃく、
噛むとスープの風味が広がる油揚げ、
そして、旨味たっぷりの鶏肉。

食べ終わると女将さんが卵を入れて、雑炊まで作ってくれます。

あんなにお腹が空いて、寒い寒いと言っていたゼミのみんなも、
「お腹一杯。ぬくもりましたね〜」と満点の笑顔。
心まで温かくしてくれる素敵なお店です。

みなさんも本郷に来る機会があれば、ぜひ立ち寄ってみて下さい!

[池尻 良平]

2009.11.24

【エッセイ】Personal Learning NetworkとTwitter

最近、Connectivist系統の人たちが"Personal Learning Network"という言葉を使っています。

RT @yuuhey @Twitter_Tips How to turn Twitter into a great personal learning network: http://j.mp/7ZM8VV

Personal Learning Network(以下PLN)は学術用語というよりFacebookやTwitterによって生まれた学習ネットワークを指す自然発生的な言葉ですが、ここではSocial Mediaによって接続された相互に学習資源になりうる人的ネットワークと操作的に定義しておきたいと思います。

PLNは、従来オンライン上の学習の分析でよく使われてきたWengerの「実践共同体 (COP:Communities of Practice)」の概念ではとらえられない事象を指し示しています。実践共同体には「領域・実践・共同体」という3つの次元がありますが、PLNはその枠ではおさまらないからです。

例えば、理系の大学生が子どもたちを集めてサイエンスクラブを作ったとしましょう。放課後にワークショップを行って、家に帰ってから実験の結果についてオンラインでディスカッションする場合、領域は科学、実践は実験、共同体はクラブメンバーという定式化ができます。この場合、共同体への参画の中でアイデンティティや知識がどう変容するかをCOPの枠組みで考えることができます。

ところが、Twitterでつながっている人々は、単一の関心領域によって強固につながっているわけではなく、さまざまな関心によって織物のように構成されています。またRetweetや返信は行われても、大規模な共同プロジェクトを実践として展開することはほとんどありません。共同体のメンバーについては、フォローしている人・フォローされている人々が違いますので、個人によって異なっています。

PLNにおける学習は返信による直接対話型の知識交換よりも、観察・比較・内省によって生起する「見ることによる学び」の方が多いように感じています。PLNが学習の全ての要素を包含する訳ではありませんが、COPと連結させることによって、学習をより豊かにするための仕組みとして利用することは十分可能だと考えています。

[山内 祐平]

2009.11.21

【学びの大事典!】熟達化研究

最近、学習や教育に関心を持つ方の中で、熟達化という言葉はよく聞かれるものではないかと思います。

でも、あらためて「熟達化とは何でしょう?」と問われると、大変答えにくいものではないでしょうか。
今回は、「熟達化」をどう捉えてきたのかという研究系譜を概観しつつ、創造的技能領域という概念(大浦 2000)について触れてみたいと思います。

ーー
もとはと言えば、熟達化研究の始まりはチェスのエキスパートに関する研究でした。

de Grootによる先駆的なチェスの研究に始まった熟達の研究は、Simonらの一連の研究によって引き継がれ、現在に至るまで急速な発展を遂げてきました。そして、この知見は人工知能研究と深く結びついていきました。

これまでの研究の多くは熟達者(expert)と初心者(novice)の遂行を比較する形で行われ、知的課題(特に記憶課題)での成績の分析がなされました。行われた領域は、チェスの駒の配置、碁のパタン、コンピュータのプログラム、バレエのステップ、バスケットボール及びフィールドホッケーでの選手の位置などなど、多岐に渡ります。しかしながらこれらの知見に共通していたのは、熟達者は初心者よりも速く正確に記憶できるといったような内容でした。

その後、熟達者の有能さの本質に迫るべく、実際の場面に近い課題状況をつくり問題解決を求めた研究も報告されました。これらのデータの蓄積により熟達者の遂行の特徴が明らかにされるにつれ、熟達のなされる領域によって熟達の様相は必ずしも一致しないということがはっきりしてきました。

そこで大浦容子(新潟大学)が提案したのが、「創造的技能領域」という概念です。
大浦は課題領域の特性によって創造性と技能性という2つの次元を設定し、熟達を4領域に分けています。
・創造的技能領域(楽曲演奏、スポーツにおける対人競技、絵画制作、外科手術など)
・創造的非技能領域
・非創造的技能領域
・非創造的非技能領域

創造的技能領域には、楽曲の演奏、スポーツにおける対人競技、絵画制作、外科手術などが含まれるとされます。すなわち、適切な表象形成が必要と同時におもわぬハプニングや柔軟なプラン変更が必要になる部分もあるものがここにカテゴライズされています。
大浦は音楽演奏に関して丁寧な実証研究をまとめていらっしゃるので、興味のある方は是非、読んでみてください。
※大浦容子(2000)創造的技能領域における熟達化の認知心理学的研究

ーー

ここまで、熟達化研究の流れを私の独断ではありますが駆け足で見てきました。
でも、今まで挙げてきた研究は「熟達者はいかに熟達者であるのか」という視点に立つもので、「なぜ熟達者は熟達者になりえたのか?」ではなかったのです。すなわち、この視点のを介在させることによって、熟達化研究と育成支援研究には接点が生まれてくるのだろう、と私は考えています。

現在では、岡田猛(東京大学)による芸術家の作品創造にまつわる一連の過程や松尾睦(神戸大学)のようにビジネスの環境の中で人が経験から学んでいく過程といった長期的な変容を「熟達化研究」という視点で捉えるようなものもあります。

こういった複雑な様相を明らかにしていくためには、多角的な視点で研究をする必要があります。どのような組み合わせが良いかは調査によって様々です(このように多様な「観測の線」を使うことは、「トライアンギュレーション」と呼ばれることが多いです)。

熟達化研究にとって、万能な1手法というのはないのだと思います。

いかに、様相に光をあてるのか。
それを考える研究の在り方そのものも、適切な表象形成と柔軟なプラン変更の両側面を必要とするものだと思います。研究するということもまた、創造的技能領域なのでしょう。

(山内研博士課程3年 森玲奈)

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